映画『セッション』のあらすじ・ネタバレ・感想

洋画

一流ジャズ・ドラマーを目指す青年が味わう鬼教師による狂気のレッスンを描いた映画『セッション』

今回は、映画『セッション』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。

『セッション』の作品概要

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上映日2015年4月17日
上映時間107分
制作国アメリカ合衆国
監督・脚本デイミアン・チャゼル
音楽ジャスティン・ハーウィッツ
出演マイルズ・テラー/J・K・シモンズ/ポール・ライザー/メリッサ・ブノワ/オースティン・ストウェル/ネイト・ラング

一流のジャズ・ドラマーを目指し名門音楽大学に入学した青年が、鬼教師の常軌を逸した指導によって心身共に追い詰められていくさまを、心揺さぶる熱き演奏シーンとともに描く。

『セッション』は2015年の第87回アカデミー賞で録音賞、編集賞、助演男優賞の3部門を受賞。

『セッション』のあらすじ

一流のジャズ・ドラマーを夢見て全米屈指の名門シェイファー音楽院に入学したニーマン。ある日、名高いフレッチャー教授の目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。

自信と期待を胸に練習に参加したニーマンだったが、待っていたのはフレッチャーの狂気のレッスンだった。ニーマンはフレッチャーの罵声や理不尽な仕打ちに耐えながら必死で食らいついていく。

登場人物紹介

アンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)


一流ジャズ・ドラマーを目指し名門音楽大学に入学した19歳の青年。

フレッチャー(J・K・シモンズ)


シェイファー音楽院の指導者。実力はトップクラスだが、罵詈雑言も厭わない厳しい指導で有名。

ニコル(メリッサ・ブノワ)


映画館でバイトする平凡な大学生。ニーマンが気になって声をかける。

ジム・ニーマン(ポール・ライザー)


アンドリュー・ニーマンの父。男手一つでアンドリューを育ててきた。

ライアン・コノリー(オースティン・ストウェル)


ニーマンと同じクラスでドラムスのライバル。

カール・タナ―(ネイト・ラング)


フレッチャーのバンドのメイン・ドラムス。

[出典:GAGA公式サイト]

『セッション』のネタバレ

この先、『セッション』のストーリーを結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください

鬼教師のフレッチャー

19歳のアンドリュー・ニーマンは偉大なジャズ・ドラマーを夢見て全米屈指の名門、シェイファー音楽院に入学した。アンドリューを男手一つで育ててきた父親のジムは息子を応援しながらも、「別の道もある」と優しい言葉をかける。

ある日、ニーマンがひとりでドラムの練習していると、学院でも名高い指導者のフレッチャーに出会う。

後日、フレッチャーはニーマンのいるクラスに突然現れ、指揮を取り始める。その中でニーマンだけが学院で最上クラスのフレッチャーのバンドにスカウトされた。

 

迎えた練習初日。フレッチャーがスタジオに入ると緊張が走る。「ウィップラッシュ」を合わせ始めるが、開始早々、フレッチャーは音程がずれているという理由でバンドメンバーに罵声を浴びせる。フレッチャーはその中から1人を退場させた。

フレッチャーは一流のミュージシャンを輩出するために、要求するレベルの演奏ができない者に対して罵声や怒号も厭わない鬼指導者だったのだ。

フレッチャーの洗礼

ニーマンもフレッチャーの厳しい指導の洗礼を受けることになる。ニーマンはメインのドラムスのカール・タナーに代わり、初めてフレッチャーのバンドで演奏をする。

フレッチャーはテンポがわずかに違うと指摘し、ニーマンに同じ小節を何度も叩かせる。いつまでも要求に答えられないニーマンに、フレッチャーはイスを投げつけた。

「テンポが遅いか速いかわからない」と答えるニーマンに、フレッチャーは顔をひっぱたいてテンポを叩き込む。

フレッチャーに屈辱的な言葉を浴びせられ、ニーマンはついに泣いてしまう。他のバンドメンバーの前で「悔しい!」と叫ばされる。

コンテストに出場

悔しさをバネにニーマンは必死で練習し始める。「ウィップラッシュ」の譜面をコピーし、音源を繰り返し聞く。たとえ手から血が流れようとも絆創膏を貼ってドラムスを叩き続けた。

それから、フレッチャーのバンドはコンテストに出場する。スカウトもかかった大事なコンテストだった。

ニーマンは会場でタナーから預かった楽譜を紛失してしまう。暗譜していなかったタナーが演奏できない状況の中、暗譜していたニーマンは「自分に叩かせてくれ」とフレッチャーに懇願する。

ニーマンはタナーの代わりにドラムスを演奏し、上達した練習の成果を見せる。そして、見事シェイファー音楽院はコンテストで優勝した。

ドラム漬けの日々

次の練習から、ニーマンはタナーの代わりにメインのドラムス担当になった。

ニーマンはこのことを誇りに思うが、音楽家への理解がない親戚には見下されてしまう。

ある日の練習後、ニーマンは居残りをさせられる。フレッチャーは前のクラスでライバルだったコノリーを呼ぶ。コノリーの演奏はひどいものだったにも関わらず、フレッチャーはコノリーを主奏者の候補にする。

ニーマンはドラムだけに集中するために、恋人のニコルが足手まといになると言って別れた。そして、さらに自分を追い込んで練習に励む。

主奏者をかけた争い

コノリーが新人りとして入って初めての練習。

フレッチャーは練習前に、あるCDを流す。そのトランペット奏者のショーンはフレッチャーの教え子であったが、交通事故で亡くなったと言う。フレッチャーは目頭を押さえて、偉大な演奏家だったことを教える。

 

バンドは新しい課題曲として「キャラバン」に取り組む。コノリーはすぐにニーマンと交代。しかし、ニーマンもすぐにタナーに交代。フレッチャーが納得できる演奏を誰かができるまで、ドラムスは次々に交代させられる。

他のバンドメンバーはスタジオの外で待たされ、ドラムスの交代演奏は夜まで続いた。テンポ400という極端な速さを3人とも叩けなかった。フレッチャーは罵詈雑言を浴びせ続ける。

最終的に、手から出血しながらも最後まで指導に食らいついたニーマンが主奏者として認められた。そして他のバンドメンバーも加わって練習が再開。深夜2時まで続いた。

大会での騒動

それから行われた大会で、ニーマンの乗ったバスが会場へ向かう途中で故障する。ニーマンはレンタカーで急いで会場に向かう。何とか間に合ったが、ドラムスティックをレンタカーショップに置き忘れたことに気づく。

フレッチャーはニーマンの代わりにコノリーを指名。ニーマンは残り10分でスティックを取って戻る事を条件に、演奏すると主張する。

ニーマンはスティックを回収して急いで戻るが、その途中でトラックと衝突事故を起こしてしまう。

 

ニーマンは頭から血を流しながら会場にたどり着き、開演ギリギリでステージに立った。

フレッチャーのバンド演奏が始まるが、ニーマンは左手を怪我した影響でスティックを落としてしまう。しかし、それでも演奏を続けようとする。

フレッチャーはニーマンに「お前は終わりだ」と宣告。激昂したニーマンはフレッチャーに殴りかかり、退場させられた。

挫折

ニーマンは大会での騒動により、シェイファー音楽院を退学処分となる。ニーマンは他の大学へ入学するのを機に、ドラムを一切やめようとドラムへの憧れの詰まった私物を全て処分した。

後日、ニーマンは父ジムと共にショーンの代理人を務める弁護士と面会する。ショーンは事故死ではなく、フレッチャーの行き過ぎた指導によりうつ病を患い自殺したのだった。

ショーンのような被害者をこれ以上出さないよう、フレッチャーの指導内容を匿名で証言してほしいと頼まれる。

ニーマンは「フレッチャーは悪くない」とかばったものの、弁護士や父親に説得され協力することにした。

フレッチャーと再会

その夏、ニーマンはアルバイトをしながら大学入学の準備をしていた。ある夜、ニーマンは街のジャズクラブでフレッチャーの名前を見つける。

ニーマンは店内に入り、フレッチャーのピアノ演奏を遠くから聞く。

フレッチャーはニーマンに声をかけ、席を共にする。フレッチャーは「誰かの密告により大学院を辞めさせられた」と話す。密告者はニーマンだったが、フレッチャーは知らないようだった。

フレッチャーは「生徒の中から偉大な音楽家を生み出すために、あえて厳しい指導をすることで、熱い思いで生徒と向き合っていた」と信念を語る。

 

フレッチャーは別れ際、週末行われるジャズ・フェスに出場するバンドのドラムスで出演しないかとニーマンに持ちかける。

演奏曲目が音楽院のときと同じだったこともあり、ニーマンは誘いを受ける。

ニーマンはニコルに久しぶりに連絡する。ニーマンは一方的に別れを告げたことを謝り、週末のジャズ・フェスに誘う。しかし、ニコルには既に別の彼氏ができていた。

ジャズ・フェス

いよいよ迎えたカーネギー・ホールで行われるジャズ・フェスの日。

スカウトの目に留まれば契約のチャンスもある一方、下手すれば二度と音楽家として日の目を見ることはできない大事なステージだ。

ニーマンは父のジムを招待していた。フレッチャーのバンドがステージに上がる。楽曲はニーマンが何度も叩いた「ウィップラッシュ」だ。

しかし、フレッチャーは演奏前、ニーマンに向かって「密告したのはお前だな」と言う。戸惑うニーマンを前に、フレッチャーはニーマンの知らない新譜を紹介し始める。

 

フレッチャーは匿名の証言をしたニーマンに報復として、二度と音楽家として認められないようにこのステージを用意していたのだった。

ニーマンは知らない曲を上手く演奏できず、大勢の観客の前で失態を晒す。フレッチャーはニーマンに「お前は無能だ」と告げる。ニーマンはドラムスの席を離れ、ステージ脇で父と抱き合う。

鬼気迫る魂心の演奏

しかし、ニーマンは意を決してふたたびドラムスの席へ戻ってきた。

フレッチャーが次の曲を紹介している途中で、ニーマンは勝手に「キャラバン」を叩き始める。ニーマンはフレッチャーの主導権を奪い、他のバンドメンバーもニーマンの気迫に押され演奏し始める。

フレッチャーも仕方なく指揮を振り始め、ニーマンに暴言を吐く。ニーマンはそれを無視して演奏を続ける。ニーマンの狂気じみた魂のこもった演奏に、次第にフレッチャーは歓びの表情を浮かべる。

演奏が終わったと思われたが、ニーマンはソロで叩き続けた。フレッチャーもニーマンの意図を汲み取り、シンバルの抑揚を指示する。そして、ふたりがアイコンタクトをとったとき、バンド全体で最後の音を盛大に鳴らすのだった。

『セッション』の感想

映画『セッション』は何と言ってもまず、フレッチャーを演じたJ・K・シモンズの鬼気迫る演技に圧倒されました。

汗や血を垂らしながらもドラムスを叩き続けるニーマンの演奏も凄まじかったですね。ドラムスに文字通り “命を賭ける” くらいの覚悟がなければ、一流にはなれないということを表しているのでしょう。

狂気じみたフレッチャーの指導により、ニーマンが心身ともにどんどん追い込まれていく過程が、見ているこちら側も精神的にやられます。

ですが、観客の期待を大きく裏切るジャズ・フェスでの展開、最後の9分超えの魂のこもったドラムス演奏には鳥肌が立ちました。