映画『蜜のあわれ』のあらすじ・ネタバレ・感想

邦画

金沢三文豪の1人である、室生犀星(むろう さいせい)の作品を原作にした『蜜のあわれ』。

今回は、映画『蜜のあわれ』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。

『蜜のあわれ』の作品概要

上映日2016年4月1日
上映時間105分
制作国日本
監督石井岳龍
原作室生犀星『蜜のあわれ』
脚本港岳彦
音楽森俊之
主題歌canaco「dance with me」
出演二階堂ふみ/大杉漣/真木よう子/永瀬正敏/高良健吾/韓英恵

大正~昭和にかけて活躍した作家・室生犀星の『蜜のあわれ』を原作とする実写映画。

金魚から人間の姿に変貌する小悪魔少女・赤子と、赤子と暮らす老作家の様子が描かれる。監督は、独特の世界観でファンを集める石井岳龍がつとめている。

『蜜のあわれ』のあらすじ

 

金魚の赤子は、老作家の「おじさま」と暮らしている。ある時、老作家とかつて恋仲だった女性が幽霊としてよみがえり、赤子の前に姿を現す。老作家の友人・芥川龍之介や金魚売りの男が3人を見守る中、ある事実が発覚する。

登場人物紹介

赤子(二階堂ふみ)

金魚の少女。人間で言うと17歳くらい。老作家と暮らしている。

老作家(大杉漣)

作家活動で生計を立てる男。赤子に甘い。

田村ゆり子(真木よう子)

15年前に老作家のもとに通っていたという女性。

金魚売り(永瀬正敏)

赤子の正体を知る、数少ない人のうちの1人。

[出典:http://mitsunoaware.com/cast/]

『蜜のあわれ』のネタバレ

この先、『蜜のあわれ』のストーリーを結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください

老作家と金魚

老作家は、2階建ての一軒家で19年寝たきりの妻と、金魚と暮らしていた。ある時、金魚は人間の姿になって老作家の前に現れるようになった。

金魚は勝気で小悪魔な性格で、しばしば老作家からお小遣いをもらって外に出かける。出かけるときに持ち歩いている水筒には、「犀」の字が刺繍されていた。

 

ある日、老作家の講演を聴きに行った金魚は、髪が長い和装の女性に出会う。その女性は気分が悪そうだったため、金魚は会場の外へ連れ出して水筒の水を飲ませた。

水筒の「犀」の字を見た女性は「老作家の関係者か」と金魚に聞いた。その女性は田村ゆり子と言い、15年前に老作家のもとに通って原稿を読んでもらっていたのだという。

その後、金魚は老作家に「田村のおばさまに会った」と言った。すると、老作家は「彼女は12年前に死んだはずだ」と驚く。金魚は、ゆり子は幽霊だということに気づいた。

愛人

後日、金魚は老作家に「あたいを恋人にしてちょうだい」と言った。そして、老作家は金魚を赤子と名付けた。

一方、ゆり子は赤子の正体を知るべく、赤子の尾行を始める。それに気づいた赤子は、自身を育てた金魚売りのところに行き、水槽入って他の金魚のなかに紛れた。赤子を見失ったゆり子は帰ろうとするが、赤子はゆり子に飛びついて正体を明かす。

金魚売りの店から出た2人は、10円の花を買っている老作家を見かけ、跡をつけることにした。赤子は、老作家は映画館に行くと思っていた。しかし、老作家が向かったのは、映画館の裏にある愛人の家だった。

家出

赤子は、金魚売りに協力してもらい、老作家の愛人の部屋へ忍びこんだ。そして、嫉妬した赤子が2人の邪魔をすると、老作家は腹を立てた。悔しさのあまり泣きだした赤子を、ゆり子が慰める。

翌朝、赤子が帰宅した老作家を罵ったため、老作家は昨晩の金魚が赤子だと知る。そして、病院に行った老作家は、肺病を患っていると診断されてしまった。

老作家が病院から帰ると、赤子は「あたい、おじさまの子どもが欲しい」と言い出す。老作家が断ると、「誰かと交尾する」と言って家を飛び出してしまった。

赤子が妊娠してから、ゆり子は老作家に会う決意を固めた。そこで、赤子は老作家にゆり子に会うよう言うが、老作家は「そんな女は存在しない」と言う。実は、ゆり子は老作家の小説の中の登場人物だったのだ。それを読んだ赤子が、ゆり子という幽霊を幻想の中で作り上げてしまったのだった。

赤子が去って行くゆり子を追いかけると、ゆり子は「先生がこの世に呼び戻してくれないかと思って、はかない夢を見ていました。これで気がすみました」と言い、舟に乗って川を下って行ってしまう。

家に帰った赤子は、荷造りをして「おいとまさせていただきます」と老作家に告げた。老作家は病気のことを赤子に告げて引き留めようとしたが、赤子は出て行ってしまった。

その後、金魚売りが1匹の金魚の死骸を持って老作家の家にやって来た。老作家は、空っぽの金魚鉢を見て泣いた。仰向けに倒れたとき、老作家は「いつまでさぼってらっしゃるの?」という赤子の声を聞く。2人は、笑いながらその場で踊った。

『蜜のあわれ』の感想

大杉漣さんと二階堂ふみさんの名演技のおかげで、インパクトのある内容に負けない仕上がりになっていました。原作同様、老作家と赤子のきわどい会話が見どころですが、下品さは微塵もなく上品なシーンでした。

映画化して一番良かったと思ったのは、赤子の赤い衣装が非常に映えている点です。鮮やかな赤は、赤子が他の人間とは違うことを示しているようでした。老作家と金魚と幽霊の三角関係が描かれますが、完全な三角関係ではないのが面白いです。

始めこそ、赤子とゆり子は恋敵でしたが、赤子はゆり子のことを「おばさま」と呼んで慕います。さらに、老作家の愛人の存在が明らかになったときも、ゆり子は赤子を慰め、2人は結束していきます。そういう型にはまらない世界が素敵だと思いました。原作については、以下で解説しています。

【室生犀星】『蜜のあわれ』のあらすじ・内容解説・感想