映画『コクリコ坂から』のあらすじと感想|ネタバレあり

アニメ

宮崎駿監督の息子で『ゲド戦記』を手がけた、宮崎吾朗監督の第二作目『コクリコ坂から』。

あらすじと感想、作品情報などをご紹介していきます。

コクリコ坂から』のあらすじ

映画『コクリコ坂から』のあらすじ(ストーリー)を結末まで解説しています。 この先、ネタバレを含んでいるため、ご注意ください。 (※ネタバレの箇所は赤文字で表記しています。)

カルチェラタンの危機

高校生の松崎海は早くに父を亡くし、アメリカに留学中の母・良子に代わって「コクリコ荘」という下宿屋を切り盛りしていました。早起きな海は、庭に建つポールに「航海の安全を祈る」という意味の信号旗を掲げます。

その時、海と同じ高校に通う風間俊はタグボートでコクリコ荘の下を通過しました。俊は「ありがとう」と言う意味の信号旗を掲げました。

 

海が登校すると、学校では男子文化部の部室棟・カルチェラタンの老朽化による取り壊しをするか否かの論争が巻き起こっていました。新聞部部長の風間俊は、カルチェラタンの存続活動に没頭していました。カルチェラタンは古くて暗いので、女子生徒が立ち入りにくい場所です。

海は、カルチェラタン取り壊しの賛成派が多い理由は「汚いから」だと感じていました。そこで海は、俊に「掃除したらどうか?」と提案しました。

突然の告白

そんな中、コクリコ荘では研修医・北斗美樹の送別パーティーが行われました。海は俊やその友人の史郎たちも招待し、俊にコクリコ荘の中を案内します。その時に、海は自分の身の上を語りました。海の両親は、駆け落ちで結婚しました。船乗りだった父のために、海は小さい頃から旗を出していたのです。

海は、俊に父の写真を見せました。俊は、その「澤村雄一郎」という名前に衝撃を受けます。その後、帰宅した俊は戸棚からアルバムを取り出して、海に見せてもらったものと同じ写真をじっと見つめました。

 

一方、カルチェラタンでは女子も参加して大そうじが始まりました。「澤村雄一郎」という名前が頭から離れない俊は、海に対してそっけない態度をとるようになります。それに気づいた史郎は、俊に「何かあったのか?」と尋ねます。

俊は、父親に澤村雄一郎の写真を見せながら、「俺の本当の親父なんだよね」と聞きました。俊の父親は「お前は俺の息子だ」と答えた上で、澤村雄一郎が生まれたばかりの俊を連れてきた経緯を説明しました。

 

カルチェラタンの大そうじや補修が進む中、海は帰り道で「嫌いになったのならはっきりそう言って」と俊に言いました。すると俊は写真を取り出して、経緯を説明しました。衝撃の事実に混乱した海は、家に帰ると寝込んでしまいます。

その夜、落ち込んだ海は夢を見ました。台所には母の姿があり、父には「大きくなったな」と抱きしめられました。翌朝、気持ちを切り替えることにした海は、いつものように信号旗を掲げて登校します。

海と俊

そんな時、史郎が緊急集会を開き、「カルチェラタンの取り壊しが理事会で決まった」と報告しました。すると、俊は理事長に抗議に行くことを決め、史郎に誘われた海も東京に行くことになりました。 理事長は話を聞くと、今のカルチェラタンの見学を約束してくれます。

その帰り道、海は「血が繋がっていても、たとえ兄妹でも、風間さんのことが好き」と言いました。俊も「俺もお前が好きだ」とお互いの気持ちを伝えます。海が帰宅すると、母の良子がアメリカから帰国していました。

明かされる事実

海は、父の澤村雄一郎のこと聞きます。母は海を身ごもりながらも学校に通っていました。ある日、父が「立花の子だ。引き取ってきた」と赤ん坊を抱いて帰宅し、自分の子だとして役所に届けました。しかしその子供を育てられないと思った良子は、その子供を父の船乗り仲間の養子にしてもらったのです。

翌日、徳丸理事長がカルチェラタンの見学にやって来ました。生徒と会話をする中で、彼らのカルチェラタンへの想いを知った徳丸理事長は、カルチェラタンの取り壊しを止めることを宣言しました。

 

その時、俊は父親から「写真に写っている小野寺が近くに来ている。 彼なら詳しいことを知っているそうだ」と連絡を受けました。俊と海はカルチェラタンを飛び出し、小野寺が待つ船に向かいます。小野寺は写真を差し出し、「私たちは親友だった」と話しました。

そして俊に「君の父親は立花だ」と真実を告げました。小野寺は「澤村と立花の子供に会えて嬉しい」と言って、2人と握手を交わしました。海と俊はタグボートに乗って小野寺の船を見送り、信号旗がはためくコクリコ荘を見ました。 

『コクリコ坂から』の感想

美しいカルチェラタン

カルチェラタンの存続をかけた学生運動を中心に、海と俊の関係が描かれます。一つの建物にこれほど身を捧げる一生懸命さは、今の若者にはないものだと感じます。戦後の復興に向かって活気づいていた時代背景があるからでしょうか。カルチェラタンを必死に守ろうとする学生の熱意に心が打たれました。

特に舞台となるカルチェラタンは本当に魅力的です。大掃除前の物があふれかえったカオスな空間に、なんともいえない好奇心をかき立てられました。掃除前の『ハウルの動く城』に似たような雑然さを感じます。

また海と俊の関係について、一度異母兄妹であるということを含ませるのが興味深かったです。「戦中戦後の混乱した世の中ならそういうこともあるかもしれない」と思いましたが、本当は違うという事実に安堵しました。海と俊が小野寺のもとに走るシーンは、観ながら緊張してしまいました。

ノスタルジーな世界観

60年代が舞台と言うことで、ガリを刷る描写や学生が集会を行う様子が描かれています。時代を感じられるので非常に好きな場面です。暮色に包まれる商店街を自転車で駆け抜けるところも、昭和らしさが出ています。

さらに挿入歌に「上を向いて歩こう」が選ばれているのがとても重要だと思います。

戦後の活気に満ち溢れている日本に合った選曲で、映画全体に漂う哀愁を強調する効果があるように感じました。

この時代を生きたわけではないのに不思議と懐かしいと思いました。「知らないけど、知っている」という感覚に陥りながら、作品世界に入り込めました。

『コクリコ坂から』の作品情報

created by Rinker
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
¥4,042 (2020/10/28 02:26:25時点 Amazon調べ-詳細)
上映日2011年7月16日
上映時間91分
制作国日本
ジャンル映画
キャスト長澤まさみ、岡田准一
監督宮崎吾朗
主題歌手嶌葵「さよならの夏~コクリコ坂から~」

登場人物紹介

松崎海(声:長澤まさみ)

ヒロイン。港南学園高等部の2年生。アメリカ留学している母親の代わりに、弟と妹の面倒を見ながら下宿のコクリコ荘を経営しています。毎朝、行方不明の父親のために信号旗を掲げるのが日課です。

風間俊(声:岡田准一)

港南学園高等部の3年生。「週刊カルチェラタン」の編集長。カルチェラタンの取り壊しに反対するためにパフォーマンスや集会で騒動を起こします。

水沼 史郎(声:風間俊介)

港南学園高等部の生徒会長。親友の俊とともに、カルチェラタン存続のためにあらゆる手を尽くします。

[出典:http://www.ghibli.jp/kokurikozaka/]