映画『検察側の罪人』のあらすじ・ネタバレ・感想

邦画

ジャニーズを牽引する木村拓哉と二宮和也のW出演で、今世紀ミステリー界最大の問題作と呼ばれた同名小説を映画化。

今回は、映画『検察側の罪人』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。

『検察側の罪人』の作品概要

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東宝
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上映日2018年8月24日
上映時間123分
制作国日本
監督原田眞人
原作雫井脩介「検察側の罪人」
脚本原田眞人
音楽富貴晴美/土屋玲子
出演木村拓哉/二宮和也/吉高由里子/平岳大/大倉孝二/八嶋智人/音尾琢真/大場泰正/谷田歩/酒向芳/矢島健一/キムラ緑子/芦名星/山崎紘菜/松重豊/山崎努

本作の原作となった雫井脩介が2013年に発表した「検察側の罪人」は、時効廃止以前の殺人事件や冤罪など、司法制度が抱える問題点に鋭く切り込み、社会派ミステリの最高傑作と高い評価を受けた。

そして、日本最高のスタッフ・キャスト陣が集められ、待望の映画化となった。メガホンを取ったのは、日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した「日本のいちばん長い日」や「関ヶ原」を世に送り出してきた巨匠・原田眞人。

また、本作で木村拓哉とW主演を果たした二宮和也は、鬼気迫る演技が高く評価され日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した。

『検察側の罪人』のあらすじ

都内である殺人事件が発生する。事件を担当する検察官は、東京地検刑事部のエリート検事の最上と、地方での実務を終え配属されてきたばかりの沖野。最上は複数いる被疑者の中から、1人の男に狙いを定め、執拗に追い詰めいていく。

被疑者の男・松倉は、過去に時効を迎えた未解決事件の最重重要人物だった。最上を師と仰ぐ沖野は、沖野の指示に従い執拗な取り調べを行い松倉を自白させようとする。しかし、松倉は犯行を否認し続ける。

やがて沖野は、最上の捜査方針に疑問を持ち始めるようになる。互いの正義を賭けて対立する2人の検事に待ち受けていた決着とは。

登場人物紹介

最上毅(木村拓哉)

東京地検 刑事部 本部係検事。刑事部きってのエリート検事。

担当する老夫婦殺人事件の被疑者として、過去の未解決殺人事件の重要参考人・松倉の名前が挙がり、激しく動揺する。そして松倉の犯行を強く疑い、それに警察も同調し、松倉犯人説へと傾斜していく。

沖野啓一郎(二宮和也)

東京地検 刑事部 検事。刑事部に着任したての若手検事。入庁時の研修での最上の言葉に感銘を受け、憧れている。

事件の捜査がすすむにつれて、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと疑い始める。

橘沙穂(吉高由里子)

東京地検 刑事部 検察事務官。入庁3年目の検察事務官。兼ねてから念願だった刑事部に移動となり、沖野の担当事務官となる。

丹野和樹(平岳大)

衆議院議員。最上の大学時代からの親友。政界の大物議員である義父、高島進の秘書を務める。

収賄事件の参考人として、東京地検の取り調べを受ける予定。

弓岡嗣郎(大倉孝二)

老夫婦殺人事件の被疑者。

諏訪部利成(松重豊)

ブローカー。最上に関心を抱いていおり、今回の事件でも最上の立てた捜査方針に有利となる証拠集めのため影で動く。

小田島誠司(八嶋智人)

弁護士。国選弁護人として松倉の弁護を担当することになる。

白川雄馬(山崎努)

大物弁護士。小田島を後援する形で、松倉の弁護団を結成する。

千鳥(音尾琢真)

暴力団員で殺害された老夫婦の息子。警察を信用せず自ら被疑者に接触しようとする。

前川直之(大場泰正)

弁護士。最上・丹野と同じ学生寮で暮らした旧友。久住由季の事件を知る1人。

青戸公成(谷田歩)

警視庁 捜査一課 警部。老夫婦殺人事件の担当検事。

松倉重生(酒向芳)

老夫婦殺人事件の被疑者の1人。時効となった過去の未解決事件の重要参考人であった男。

高島進(矢島健一)

衆議院議員。収賄事件で丹野に罪を被せて保身を図る。

桜子(キムラ緑子)

最上が法学部同期との酒宴で使っている割烹の女将。

運び屋の女(芦名星)

諏訪部の指示で動く謎の女。

最上奈々子(山崎紘菜)

最上の娘。最上の妻・朱美が前夫との間にできた娘。最上とは血が繋がっていない。

[出典:http://kensatsugawa-movie.jp/about/index.html]

『検察側の罪人』のネタバレ

この先、『検察側の罪人』のストーリーを結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください

最上と沖野の出会い

沖野たち若手検事は、最上から研修を受けている。最上は、己の正義に固執しすぎた検事は正義を汚し、悪の側の存在、犯罪者となっていくと語ります。

再会

数年後、沖野は研修と地方での実務を経て東京地検刑事部に配属されました。そこには研修時代からの憧れの最上もいました。

最上は沖野のことを買っていて、曲者の闇ブローカー・諏訪部の取り調べを任せます。

しかし、諏訪部は人は売らないと強固な姿勢を崩さず、沖野は諏訪部から自供を引き出すことはできませんでした。

事件

そんな中、蒲田で老夫婦が殺害される事件が発生しました。

家の中の金庫も狙われていて、強盗殺人事件の可能性が高い犯行でした。

さらに、被害者が個人的に金を貸している人間も多く、金を借りていた人名前が複数挙がり始めます。

沖野は、憧れの最上の期待に応えるため、身を引き締める思いで事件の捜査に当たります。

ある男

沖野から報告を受けた最上は、金を借りていた人物のリストの中にある男の名前を見つけます。その男の名前は松倉重生。

松倉は、かつて最上が学生時代を過ごした学生寮・北豊寮のアイドル的存在だった由季が強姦された末に殺害された事件の重要参考人の男でした。

しかし、松倉は証拠不十分で不起訴となり、事件も時効を迎えていました。

この事件は、最上が検事を目指す志すきっかけとなった事件でした。

最上の思い

由季は、寮の管理をしていた夫婦の一人娘で最上にとても懐いていました。

由季を妹のように可愛がっていた最上は、今回の老夫婦殺人事件で松倉の名前が捜査線上に上がったことを受け、松倉に対する強い怒りが再燃しました。

最上は、今度こそ松倉の犯行を証明してやると強く心に誓います。

松倉の過去

松倉は、今回の老夫婦殺人事件の参考人として、事情聴取を受けます。

最上は、壁越しに松倉と対面し、やるせない気持ちを受けます。

 

そして、最上は松倉について刑事と話している時に、松倉の過去の事件について話を聞くことになります。

松倉は、由季の事件と重要参考人だっただけでなく、少年時代に兄と盗難車を乗り回したあげく、1人の少女を強姦し、その家族までを殺した過去がありました。当時は、未成年だったため実名が世にでることがなかったのです。

手を貸した兄は、事件発覚後に自殺し、松倉はたった5年少年院にいただけで、日常を取り戻したのです。

 

最上は、今度こそ松倉の犯行を証明しなければと心に念じ、動き始めます。

そして最上は次第にその執着心のあまり、闇ブローカーの諏訪部を使って証拠の捏造や、松倉の別件逮捕など、暴走を始めます。

最上への疑惑

その最上の行動に対して、沖野の事務官の橘が危機感を抱き始めます。事件が最上の思い込みによりミスリードされていると感じ、そのことを沖野に伝えます。

沖野も最上の今回の事件への入れ込みようには納得しますが、ミスリードに関しては話しを流します。

松倉の自供

最上を信じる沖野は、彼の指導のもと松倉に対して厳しい取り調べを行います。しかし、老父婦殺人事件に関する松倉の証言は得られず、犯行を否認し続けるばかりです。

一方、沖野の言葉に乗せられ、松倉は由季の事件の詳細を語り始めます。無線を通して聞いていた最上は、目に涙を浮かべながら怒りを噛み締めます。

しかし、松倉は老夫婦殺人事件に関しては、依然として否認を続けます。

弓岡に関する証言

ある日、警察署にある男が証言に現れます。彼は、たまたま飲み屋で席が隣になった弓岡が酒に酔い、妙なことを口にしていたと話し始めます。

その時、弓岡はかなり酒に酔っており、上機嫌で2人を殺したことを口にしていました。

弓岡は、報道では伏せていた「凶器に使われた包丁の刃先が折れている」ということを知っていたため、捜査線上に急浮上しました。

このことにより、事件は松倉犯人説から大きく動くことになります。

最上の暴走

しかし、それでも最上は今回の事件で松倉を被疑者として送検することにこだわります。

最上にはどうしても松倉を犯人にしなければならない理由がありました。とはいえ、真犯人と見られる弓岡をみすみす見逃すわけにもいきません。思い余った最上は、闇ブローカーの諏訪部にある依頼をします。

最上と弓岡

最上は、諏訪部に銃と足のつかない車を手配を依頼していました。

一方、最上の動きを不審に思った橘と沖野は合流し、最上の跡をつけます。

 

最上は、手に入れた拳銃を持って弓岡の働き先であるラブホテルに足を運び、弓岡を箱根の別荘地に誘い込みます。

弓岡はギャンブル絡みの借金を老夫婦に申し込んだが、断られて逆上して老夫婦を包丁で殺害し、自分の借用書を抜き出して持ち帰っていたのです。弓岡からすべてを聞き出した最上は後ろから無防備な彼を銃で殺害し、掘っておいた穴に埋めます。

弓岡の失踪

次の日、最上は何食わぬ顔で捜査会議に向かいます。そこで、弓岡が失踪したと青戸から聞き、連絡が一晩中取れなかったことから最上に疑惑の目が向けられます。

しかし、最上はその疑惑の目に臆することなく、逆に橘がルポライターとして検察の内情を外部に漏らしている証拠を突きつけます。

証拠品

最上は、弓岡が持っていた凶器と松岡の所持品から証拠品を偽造します。諏訪部の力を借りて、凶器を河川敷に捨て、匿名で警察に通報させます。

そして、最上は松倉犯人説のストーリーを完成させます。

しかし、沖野は証拠品が出てきたとしても、松倉が犯人だとは思えないと食らいつきます。沖野は、「松倉への復讐が全てなのか。真実を解明することはどうでもいいのか」と詰め寄ります。

かつての沖野の憧れの最上の姿はなく、最上に絶望した沖野と橘は、検察を辞める決意をします。

沖野と橘の結託

検察を離れた沖野と橘は、松倉の国選弁護人・小田島に密かに接触します。そして、検察時代に知り得た捜査情報を流し、小田島の協力を得ることに成功します。その結果、松倉はまたしても無罪放免になりました。

弓岡の死体が発見されて事件は迷宮入りかと思われていましたが、とある後援会で沖野は最上と松倉の接点に気づき、凶器の入手ルートから諏訪部との繋がりまで見えていました。

松倉の勝利

松倉は、釈放を勝ち取った祝いの席で、沖野を前にサイコパスな本性をあらわにします。異常な本性を隠そうともしない松倉を見て、自分のおこなってきたことは何だったのか分からなくなる沖野ですが、祝いの席から逃げ出した松倉の後を追います。

そんな沖野の目の前で、偶然を装った諏訪部により、松倉は暴走車に跳ね飛ばされてしまいます。

決別

数日後、最上の祖父の別荘に招かれた沖野は、最上に正義の執行者となるべく誘われます。最上は、殺された由季と誕生日が一緒の沖野に対して、由季を重ねて特別な感情を持っていました。そのため、沖野が一度裏切ったにも関わらず、声をかけたのです。

しかし沖野は、「最上検事は罪人です。真実を追い求めます」とその誘いをきっぱりと断ります。憧れの存在だった最上と沖野との、決別の時でした。

『検察側の罪人』の感想

日本の司法制度では捌ききれない「悪」に立ち向かう最上が、「正義」を追求するあまり道を外れてしまう姿を見て、胸が痛みました。

正義をかけて戦う2人の決着は、どうなったのか劇中では描かれませんが、冤罪や未解決事件など重い題材で真の「正義」とは何なのかと考えさせられる難しい映画だと思いました。

 

また、劇中の二宮演じる沖野と酒向芳演じる松倉が言い争うシーンは、殺気に溢れており思わず息を潜めて観てしまいました。二宮は、「硫黄島からの手紙」でも高い評価を受けていましたが、本作で役としての新たな一面を見ることができました。今後の俳優としての活動にも目が離せません。