温かくも切ないSFラブストーリー。
今回は、映画『her/世界でひとつの彼女』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。
このページの目次
『her/世界でひとつの彼女』の作品概要
上映日 | 2014年 |
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上映時間 | 120分 |
制作国 | アメリカ |
監督 | スパイク・ジョーンズ |
脚本 | スパイク・ジョーンズ |
音楽 | アーケイド・ファイア |
出演 | ホアキン・フェニックス/スカーレット・ヨハンソン/エイミー・アダムス/ルーニー・マーラ/オリヴィア・ワイルド/クリス・プラット/マット・レッシャー |
『her/世界でひとつの彼女』は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などの脚本賞を受賞した。『かいじゅうたちのいるところ』などのスパイク・ジョーンズが監督を務める。興行収入は、4830万ドルを記録。映画サイトでも評価は高い。
『her/世界でひとつの彼女』のあらすじ
妻と離婚した孤独な男、セオドアは手紙の代筆を仕事にしていた。ある日、セオドアは人工知能型OSのサマンサと出会う。セオドアとサマンサは人間とOSという壁がありながらも、互いに好意を抱いていく。温かく、切ない恋愛を描くSFラブストーリー。
登場人物紹介
セオドア・トゥオンブリー(ホアキン・フェニックス)
妻と離婚した男。手紙の代筆をしている。
サマンサ(スカーレット・ヨハンソン)
人工知能型OS。
エイミー(エイミー・アダムス)
セオドアの大学時代の彼女。
キャサリン(ルーニー・マーラ)
セオドアの元妻。
ブラインドデート(オリヴィア・ワイルド)
ハーバード大学を卒業した女性。
ポール(クリス・プラット)
セオドアの同僚。
『her/世界でひとつの彼女』のネタバレ
【起】サマンサとの出会い
舞台はロサンゼルス。最愛の妻キャサリンと離婚したセオドア・トゥオンブリーは、孤独な日々を送っていた。セオドアの仕事は、手紙の代筆である。セオドアは、その仕事で成果を上げていた。
セオドアの書く手紙は、多くの人を幸せにしていたが、セオドア自身は満たされていなかった。人恋しさに駆られ、アダルトサイトに登録するも、中身のない人間関係に虚しくなるばかりであった。
ある日、セオドアは広告で、人工知能型OSの存在を知る。興味を持ったセオドアは、早速インストールした。OSの名はサマンサ。優しく、知的な女性である。
セオドアとサマンサは、交流を重ね、良い関係を築いていく。
【承】あいまいになる境界
学習機能を持つサマンサは、常に情報がアップグレードしていく。時間が経つにつれ、より人間味が増してくるサマンサに、セオドアは、人間に対するのと同じような好意を抱くようになった。セオドアとサマンサの関係は、AIと人間という違いを超え、より対等なものになったのだ。
ある日、妻と別れたセオドアを心配した友人が、セオドアに女性を紹介した。2人はデートに行き、そこで女性はセオドアに交際を申し込む。しかし、妻を忘れられないセオドアは、それを断った。
その夜、セオドアは、デートの内容をサマンサに報告した。その報告を受けて、サマンサは̪̪嫉妬した。セオドアとサマンサは、サマンサに人間のような感情が芽生えたことに驚いた。
セオドアとサマンサは、惹かれ合い、会話によるバーチャルセックスを楽しむようになる。
【転】それでも確かな境界
サマンサは、セオドアへの愛情を強めていき、やがて本物の肉体関係を結びたいと思うようになる。サマンサは、イザベラという人間の女性に連絡し、事情を話し、サマンサの代わりにセオドアとセックスすることを頼む。
イザベラは、サマンサに同情し、提案を受け入れる。しかし、セオドアの方で気が乗らず、結局セオドアは、サマンサを返してしまった。これをきっかけに、セオドアとサマンサは口論になるが、やがて仲直りをした。
ある日、セオドアはいつものようにサマンサと会話しようとしたのだが、なぜかエラーが起こり、繋がらない。セオドアは不安と焦りで困惑した。原因はシステムアップデートだった。アップデート後、サマンサが戻って来たことで、セオドアは安心した。
その後、セオドアは、サマンサが641人の男性と同時に交際していることを告白する。AIと人間という違いは仕方ないと思いながらも、やはり受け入れがたい事実だった。セオドアは葛藤した。
【結】世界でひとつの彼女
ある日、サマンサからメッセージが来る。そこには「グループと一緒に去る、私を捜さないで」と書いてあった。突然の別れにショックを受けるセオドアだったが、その様子はどこか落ち着いていた。
セオドアは、同じくOSを親友にしていた大学時代の彼女であるエイミーのもとを訪ねる。エイミーのOSもまた、エイミーのもとを去っていた。
2人はアパートの屋上へと向かった。セオドアは、元妻のキャサリンに手紙を書いた。そこには「僕の心には君がいる」と書いてあった。
『her/世界でひとつの彼女』の感想
AI技術の発展は目まぐるしいもので、今後ますますAIと人間の共存関係は強くなっていくでしょう。賛否両論はありますが、社会が変化していくことは「自然」です。私たちは、その変化に対応し続けていかなければなりません。
近い将来、このように人間とAIが恋に落ちるということもあるのでしょう。幸せがより身近に、かつ平等になるという利点はありますが、虚しさはつきまといます。AIと人間という壁を超えられなかった2人を想うと、切なくなります。
結局のところ、人と人との関係を超えるぬくもりはないのかもしれません。このような結論にまとめたくはないのですが、どうしてもそう考えてしまいます。皆さんはどうでしょうか。