映画『蛇にピアス』のあらすじ・ネタバレ・感想

邦画

芥川賞受賞作が原作となっている『蛇にピアス』。

今回は、映画『蛇にピアス』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。

『蛇にピアス』の作品概要

created by Rinker
アミューズソフト
¥3,347 (2020/10/27 14:59:09時点 Amazon調べ-詳細)
上映日2008年9月20日
上映時間125分
制作国日本
監督蜷川幸雄
原作金原ひとみ『蛇にピアス』
脚本宮脇卓也
音楽茂野雅道
主題歌CHARA「きえる」
出演吉高由里子/高良健吾/ARATA/小栗旬/藤原竜也/唐沢寿明

『蛇にピアス』は、2004年に芥川賞を受賞した、金原ひとみの小説が原作となってる映画。

当時無名だった吉高由里子と高良健吾が、主人公とその恋人を熱演する。痛みでしか生を感じられない若者が、身体改造を通して繋がる物語。

『蛇にピアス』のあらすじ


渋谷の町をあてもなくさまよっていた19歳のルイは、あるとき顔中にピアスをつけたモヒカンの男と出会う。男は「アマ」と言い、アマのスプリットタン(先端が2つに裂けている舌のこと)に興味を持ったルイはアマと暮らすようになった。

その後、スプリットタンにするために訪れた店で、ルイは店主のシバと出会った。その刺青に魅了されたルイは刺青を入れる決意をし、シバとも仲を深めていく。

そんなとき、以前アマが起こした暴力事件が警察によって捜査され始め、ルイの周りには不穏な空気が漂い始める。

登場人物紹介

ルイ(吉高由里子)

19歳の少女。アマと出会ってスプリットタンに興味を持つ。

アマ(高良健吾)

クラブでルイに声をかけた青年。背中に龍の刺青がある。

シバ(ARATA)

アマの知り合いの彫り師。背中に麒麟の刺青がある。

『蛇にピアス』のネタバレ

この先、『蛇にピアス』のストーリーを結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください

スプリットタン

19歳のルイは、ある夜クラブでアマという男と出会う。アマは、「スプリットタンって知ってる?」とルイに声をかけた。裂けた舌を自在に操るアマを見たルイは、「身体改造してみない?」というアマの言葉に、無意識にうなずいてしまった。そして、ルイはアマと暮らすようになった。

後日、ルイはアマの知り合いの彫り師であるシバという男に、舌ピアスを開けてもらった。そのピアスの穴を拡張し、最後に舌先を裂いてひもで縛ると、スプリットタンが出来上がるのだった。

ルイはシバから「無理な拡張をするな」と告げられたが、待ちきれないルイは少しずつ穴を拡張していく。拡張するたびに痛みが伴うが、ルイはそれを心地よいと感じる。

暴力事件

ルイは、クラブで知り合った友人のマキにアマを紹介した。そして、3人は一緒に飲みに行くことになった。

その帰り道、2人のチンピラがルイに声をかけた。ルイは無視するが、アマは2人を殴り始める。ルイは、マキを先に帰らせた。パトカーの音を聞いたルイは、血まみれのアマを落ち着かせてその場から逃げる。

路地に隠れたあと、アマはルイに「ルイのかたきを取ってやった」とチンピラの歯を2本渡した。そして、「これも一応、俺の愛の証」とはにかんで言った。帰宅したルイは、2本の歯を洗って化粧ポーチにしまった。

 

刺青にも興味があるルイは、シバと相談してデザインを決めていた。そして、シバの背中に麒麟が彫られているのを見たルイは、それに見とれる。

そして、ルイはシバに「アマの背中の龍とシバの背中の麒麟を組み合わせたデザインにしてほしい」と頼んだ。難しい注文にシバは顔を曇らせるが、ルイの熱量に負けて承諾した。

不穏な空気

その後、ルイは深夜にニュースで、先日アマが殴った相手が暴力団の組員であることを知った。1人は亡くなったとのことだった。

犯人の特徴が「20代半ば」「身長は175センチから180センチ」「赤い髪」と言われているのを聞いたルイは、コンビニで毛染め剤を買い、アマにニュースのことを言わないでアマの赤い髪を染めた。そして、刺青が目立たないように長袖を着るように伝える。

 

後日、ルイの元にはシバから「デザイン画ができた」と連絡が入った。ルイはアマとそれを見に行き、そのデザインに決めた。

刺青を入れる当日、ルイは「瞳を描いたら、飛んで行っちゃいそう」と言い、麒麟と龍に目を描かないでほしいと依頼した。4回の施術を経て、ルイの背中には美しい麒麟と龍が彫られた。

アマの死

刺青を完成させたルイは、活力を失って怠惰な生活を送っていた。そんなとき、ルイのもとに「アマは何か問題を起こしたか」とシバから電話が掛かってきた。

シバは、暴力事件の件で刺青を入れた顧客のリストを提出するよう、警察から言われたのだった。ルイはシバに話してしまおうと考えたが、結局何も言えなかった。

次の日の夜、アマはルイの待つアパートに帰ってこなかった。取り乱したルイは捜索願を出そうとしたが、アマの本名を知らないことに気づいてがく然とする。

シバに助けを求め、アマのバイト先に連絡したりしたが、手掛かりは見つからなかった。

 

その後、シバの携帯に「横須賀で似たような遺体が発見された」という連絡が入る。シバと駆け付けたルイは、その遺体がアマだと分かって崩れ落ちた。

全身にタバコの火を押し付けられた痕があり、手足の指の爪はすべて剥がされていた。さらに、陰部には線香のようなものが入っていた。

完成しないスプリットタン

その後、警察から捜査の進捗について連絡が入った。陰部に入れられた線香はエクスタシーという香で、ムスクの香りであることが分かったとのことだった。

ルイは、警察署からシバの店に向かった。精神が不安定なルイをシバが支えていたのだった。

ルイが店の整理をしていた時、ルイはエクスタシーのムスクの香が引き出しから覗いているのを見た。ルイは「ムスクの香りは嫌い」と言い、ココナッツの香に変えた。

ルイは、舌の先を裂いてスプリットタンにしようとしたがやめた。そして、舌にぽっかり空いたピアスの穴を見つめた。

『蛇にピアス』の感想

アマやシバのピアスだらけの身体や、刺青が映える映画でした。原作に忠実な作品です。シバがバイセクシャルで、アマにもその気があることがほのめかされていることに加え、シバがアマを殺したことを考えると、2人は関係を持っていたことが予想されます。

シバがアマを殺した理由については言及されていませんが、そこに憎しみはなかったと思います。

シバはルイに「他人に対してこんなに殺意を持ったのは初めてだ」と告げるほどのサディストであり、その結果としての殺害だからです。

ルイとアマの脆い恋が、シバによって踏みつぶされるという構図が見えました。アマは、ルイと同じ時間を過ごすことでルイを所有した気持ちになっていて、シバは殺すことでアマを自分のものにしました。はたから見ればゆがんでいますが、いろいろな愛の形があるんだと思える作品です。