毎日別人の姿に変わってしまう男とその内面に惹かれた女性のラブストーリーを描いた韓国映画『ビューティー・インサイド』。
今回は、映画『ビューティー・インサイド』の作品概要・あらすじ・ネタバレ・感想をご紹介します。
このページの目次
『ビューティー・インサイド』の作品概要
上映日 | 2016年1月22日 |
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上映時間 | 127分 |
制作国 | 韓国 |
監督 | ペク |
脚本 | キム・ソンジュン/パク・ジョンイ |
音楽 | チョ・ヨンウク |
出演 | ハン・ヒョジュ/イ・ドンフィ/ムン・スク/パク・ソジュン/上野樹里 他 |
目覚めるたびに年齢も性別もバラバラな別人の外見になってしまう青年と、そんな彼を愛してしまったヒロインの恋の行方を描くラブストーリー。
ファンタジックな設定を通して愛の本質を切なくもユーモラスに描き出していく。主人公ウジンは上野樹里を始め、123人の俳優が演じた。
『ビューティー・インサイド』のあらすじ
家具デザイナーのウジンは18歳の時以来、目覚めるとまったく別人の容姿になってしまう不思議な現象に取りつかれていた。そのことを知っているのは母親と親友だけ。
ある日、ウジンは家具店の店員イスに一目惚れする。ウジンは初めての客のフリをして毎日店に通う。そして、ウジンはイケメンの姿になった日を狙ってイスをデートに誘うことに成功する。
姿が変わらないよう3日間徹夜して、イスも彼に惹かれていくが、居眠りしたウジンは全く別人になっていた。
登場人物紹介
キム・ウジン(123人の俳優)

キム・デミョン

ト・ジハン

パク・シネ

イ・ボムス

パク・ソジュン

キム・サンホ

チョン・ウヒ

上野樹里

イ・ヒョヌ

イ・ジヌク

ソ・ガンジュン

イ・ドンウク

コ・アソン

キム・ジュヒョク

ユ・ヨンソク
ホン・イス(ハン・ヒョジュ)
アンティーク家具専門店 “ママスタジオ” で働く。偶然店に来た客のウジンからデートを申し込まれる。家具が好きな自分と似た部分の多い彼に強く惹かれるものを感じる。
サンベク(イ・ドンフィ)
ウジンの親友。最初はウジンの “病気” を信じられない反応を見せたが、ふたりだけしか知らないことを話すのを聞いて信じるようになった。仕事の上でもパートナーである。
ウジンの母(ムン・スク)
ウジンの母。ウジンが18歳のときに “病気” のことを知り、最初は驚くも息子を受け入れ面倒を見た。編み物のお店を経営する。
[出典:映画公式サイト]
『ビューティー・インサイド』のネタバレ
毎日姿が変わる男
ウジンは毎朝目を覚ますたびに、年齢・性別・国籍関係なく、毎日違う体で目覚める。異なる言語を話すこともある。体型や声、視力など別人になった変化に適応するところから1日が始まる。そして毎晩パソコンのビデオメッセージに自分を記録するのが日課だった。
ウジンの仕事は家具職人で、インターネットで販売をするので人と会う必要がなかった。親友サンベクはウジンの秘密を知る数少ない人間だ。サンベクは仕事上でもパートナーで、プライベートでもふたりでナンパしに行くような間柄だった。
奇妙な生活が始まったのは18歳の誕生日。ウジンが目を覚ますと、自分の顔と体が自分のものではないことに気づく。
ショックを受けたウジンは、泣きながらウジンの母と対面する。母親はショックを受けながらも涙ながらに受け入れる。ウジンは学校へも行けず、引きこもった生活をしていた。
そんなウジンを訪れたのが幼なじみのサンベクだった。サンベクは最初は疑ったが、ふたりだけしか知らないことを話すウジンを見て笑い出す。サンベクは毎日姿が変わるウジンを面白がりながらも変わらず接してくれた。
家具デザイナーとして少しずつ力を身に着けたウジンは、一人一人のニーズに合わせた手作りの家具を専門とするALX(アレックス)というブランドをサンベクと立ち上げた。サンベクは営業と販売を担当している。
内面は同じ人だが、外見はいつも新しい人。毎朝鏡で違う顔を見ることに慣れるのは難しい。ウジンはそんな孤独を抱えていた。
一目惚れした女性

ある日、家具屋 “ママスタジオ” で部品を探していたウジン(イ・ボムス)は店員のイスに一目惚れする。それから毎日のように、ウジンはその店にやって来てイスに家具探しを対応してもらった。毎日別人になっているウジンをイスは同一人物だとは気づかない。
ウジンはイケメン(パク・ソジュン)になった日を待ってイスにアプローチし、デートに成功する。その日の姿でいようと、ウジンは2日間寝ずに同じ姿でイスとデートした。その中で、イスも話の合うウジンに惹かれていく。
しかし、翌朝イスと会う約束をして別れた後、ウジンはどうしても睡魔に耐えられず、電車の中で居眠りしてしまう。ウジンが目を覚ますと、禿げ頭の中年男性(キム・サンホ)に姿が変わっていた。
翌朝、ウジンはイスと約束した場所に行くが、イスに気づいてもらえない上に声をかけることもできない。ウジンは泣く泣く、イスと連絡を取るのをやめようとする。
しかし、イスが連絡を取りたがっているのを知り、ウジンは彼女が欲しがっていた理想のテーブルをデザインする。
イスが働くママスタジオにALXのダンボールに梱包されたテーブルが届く。同じ頃、女性の新人見習い(チョン・ウヒ)が研修として入っていた。実はその女性は新人募集の広告を見て応募したウジンだった。
ウジンは見習いの姿でイスを食事に誘おうとする。怪訝な顔をするイスに、ウジンの名前を出してイスを自宅兼工房へ連れて行く。
ウジンは「自分がウジンだ」と言って、パソコンに保存された毎日撮影しているビデオメッセージを見せる。その話が信じられないイスは「もう二度と会いたくない」と言って帰ってしまった。
真実を知ったイス
ショックを受けたイスだったが、ウジンのことがずっと気にかかっていた。ウジンの内面を理解し、受け入れるまでに時間がかかった。
イスはウジンの自宅を訪れる。ドアを開けて出てきたのは日本人の女性(上野樹里)だった。ウジンは日本語しか話せなかったが、イスの話す韓国語は聞き取れた。
イスは「ウジンが変身するところを見たい」と言ってふたりは一緒にベッドで寝る。
翌朝、イスは目を覚ますとまだ昨夜の女性のままだった。イスはベッドから起き上がり、ウジンの部屋を見て回り、彼の生活をうかがい知る。
ベッドから起き出したウジンは、韓国人の若い男性の姿をしていた。イスはウジンの言っていることが本当だと知り、それを受け入れた。
幸せな日々の終わり

それからふたりは毎日のようにデートするようになった。毎日見た目が変わるウジンをイスはいじり、ふたりの時間を楽しんだ。
イスの働くママスタジオの創立記念パーティーで、イスはハンサムな男性(イ・ジヌク)の姿をしたウジンを紹介した。
しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。イスが毎回違う男と付き合っているという噂話が出回るようになる。
イスは毎日違う姿に変わるウジンに慣れることに、知らず知らずのうちにストレスを抱えていた。イスは次第に不安、不眠症となって薬に頼るようになり、精神的に追い込まれてしまう。
一方、ウジンはイスにプロポーズをするため、手作りの結婚指輪の製作に取り組んだ。ウジン(イ・ドンウク)は結婚しようと言うが、イスの浮かない顔を見て冗談だと言った。
その夜、帰りの車で「毎日慣れることに時間がかかる」と言うウジンに、「周りの人もそうだ」とイスは答える。その後、イスは精神安定剤を過剰摂取してしまい病院に運ばれた。
イスとの別れ

ウジンはイスがかかえていた悩みを知って苦悩する。イスが入院している間に、ウジン(コ・アソン)は母のもとを訪れて相談する。
母は、「実はウジンの父も同じ病気を抱えていた」とを打ち明ける。母は毎日変わる父の顔を覚えてられず、父の身に何かあっても探すことができないと気づき悩んだ。ウジンの父はそんな母の思いを知って自ら姿を消したのだった。
ウジンもイスを助けるために、彼女の前から姿を消すことを決意する。イスが退院した後、ウジン(キム・ジュヒョク)は彼女と別れる前に、イスのためにデザインしたチェアをプレゼントした。雪が降る中、ウジンはイスに別れを告げた。
ウジンと離れたことで、イスは薬を飲まずに、元の日常に戻った。イスはウジンのことが忘れられず、心のどこかではいつも彼を探していた。
「毎日同じ姿で違う心で揺れていた自分のほうが、毎日違う人だったのではないか」とイスは心の中で問いかける。
ふたりの再会
それから10ヶ月経ったある日、イスはネット上で見つけたあるブランドの家具を見て驚く。イスはそれがウジンがデザインしたものだとすぐに気づいた。イスは、ウジンがチェコにいると知って、彼を探しに行く。
チェコで、ウジン(ユ・ヨンソク)は相変わらず別の人間の姿に変わりながら、家具を作る日々を送っていた。ある日、ウジンが玄関のドアを開けるとイスがいた。
ウジンは知らない人のふりをするが、イスは「家具を見せて欲しい」と言って家に入る。色々な種類の服や靴を見て、イスはウジンだと確信する。
イスは「毎日違う姿でもその中のウジンを愛している」と伝え、一緒に人生を過ごしたいと告白する。それを聞いたウジンは自作の指輪を渡しながらイスにプロポーズをし、彼女はそれを受け入れた。
エンディング。ずっと姿を消したままだったウジンの父が母の前に現れる。ふたりはお互い離れていても、その存在を感じていた。ふたりは一緒に生きることを決意するのだった。
『ビューティー・インサイド』の感想
朝、起きたら別人になっていたという設定は色々な作品でありますが、この映画では100日あれば100人違うというのが斬新なパターンでした。
老若男女、国籍もバラバラにランダムに変わるというファンタジックな設定を123人の俳優が1役を演じることで実現したのも驚きです。日本から出演した上野樹里も存在感を放っていました。
主人公を主人公たらしめるのはひとり語りの声(ユ・ヨンソク)のみです。主人公の姿が定まらないがために、常に変わらないイス(ハン・ヒョジュ)の存在が引き立って美しく見えました。
最初はラブコメディ的な要素を入れて楽しみつつも、毎日容姿が変わる人を好きになることで生じる実際的な問題を丁寧に描いていたのが切ない展開につながりました。